島根県と鳥取県が一つに


あまり見慣れない地図ですが、今さかんに報道されている参議院の選挙区であることは、おわかりいただけるでしょう。

2015年07月23日、tottori_shimane_aa


一票の格差を是正するために、これまでにもさまざまな方法がとられてきましたが、とうとう都道府県合体という最後の手段が使われることになってきました。
気持ちとしては、「これって地方切り捨てじゃない? 一極集中&過疎化助長システム?」という感じです。
でも、「人の権利が片方は1人分、片方は0.8人分でいいの?」と言われたら、返答できずに黙ってしまいます。
多くの人の考え方をもとに、有識者がなるべくベターな方法を考えているのだから、私などの出る幕ではありません。

でも、どちらかと言われると、対案は示せませんが、反対に近いかなと思います。
理由というには脆弱かも知れませんが、下のようなことを思い出しました。
「日本全国『県境』の謎」(浅井建爾氏著 ; 実業之日本社)から得た知識がほとんどです。



今回、都道府県境を越えて選挙区が成立するのは、この島根県と鳥取県だけではなく、高知県と徳島県も対象になっています。
このブログの地図は島根県と鳥取県だけで、ちょっと片手落ちですが、まあそれは置いといて…。

この2つの地域は、以前にも合体していたことがありました。
島根県と鳥取県が一つで島根県、高知県と徳島県が一つで高知県だったことがあります。
明治時代のごく初期のことです。

明治政府は、封建的な旧体制を崩して、新規の近代国家建設のために、地方の行政改革に「廃藩置県」という思い切った政策を行っています。
府県名には、旧令制国の地名をすべて廃して、新しい地名(ほとんどが庁舎所在地の地名)を採用しました。
心機一転の意味だけではなく、旧士族勢力のコントロールの目的もあったようです。

また、府県境の線引きも革新的でした。
極端な合理主義で、人口が同じぐらいの府県ばかりを作ろうと考えたようです。
そのために、現在の東京都23区の中の、さらに一部分に過ぎなかった東京府と、今の都道府県を合体したような面積の大きな県とが並立していました。
人口第1位の府県は、石川県(現在の富山県、石川県、若狭を除く福井県)でした。

ただ、この行政区分は短い期間で終わってしまい、面積の長大な県は旧令制国の線引きに近い行政区分に戻されます。
理由は、いくつかありました。
まず、行政機構は全国的に均一化されるというものの、住民サービス(そういう言葉はなかっただろうけど)的な側面が著しく低下し、住民管理が及びにくくなります。
また、合体によって大きくなった県庁所在地の発展よりも、中心から遠ざけられた地域の地盤低下の方が大きくて、トータルとして経済活動がプラスにならないと判断されたからです。
士族の反乱に目をとがらせていた時代ですから、不平分子の温床となるそのような地域に対しては、政府もテコ入れをせずにはいられなかったのでしょう。

今回の都道府県合体によってできる選挙区の形が、明治初期の府県の形と同じことに、何となく驚きを感じます。





過疎に関わる話で、ちょっと話が飛びますが…。
「こんな田舎に、こんないい道を造りやがって。税金のムダ使いやな。」というような話を耳にしたときにも、似た感覚の気持ちになります。
「この道がなければ、この先の村はその内消滅してしまうなあ。」

国土が半永久的に広がっていくというおぼろげな夢のあった時代、つまり富国強兵時代には、先へ先へ鉄道を敷く、道路を造るということは、日本の発展の象徴でした。
未開の地に資本を投下することは、その地を繁栄させると同時に、その先にある新たな領土を手に入れるための準備になります。
しかし、領土拡大の可能性がなくなった戦後の日本は、指向が内向きにならざるを得なくなります。
未開地を開拓するという精神は、戦争後の人々の意識に残っていて、1960年代半ばまで地方ローカル線が建設されたりしていました。

やがて、そういう方法での地方の活性化は失敗に終わりましたが、その真逆は進行します。
日本人はその経済成長の中で、都市部への人口集中を加速させ、全体としてはたいへん生産性の高い国土を作りました。
面積にすると、国土の10%ぐらいの部分の耕地利用の形態は、大きな様変わりをします。

その10%の耕地に90%の人間が生活する日本の国土は、混んでいるところと空いているところが極端です。
今後、どんなふうに進んで行くのでしょうか。
都道府県が合体された面積の長大な選挙区の出現は、こういう話と無関係ではないと感じました。




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