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ファールと罰則 ; その3


今でも役員としてサッカーに関わっていますが、子どものサッカーの指導を現場で行っていたのは20年間です。
2チームに関わり、その両方ともコーチを3年ぐらいしたあと、監督としてチームを引き継ぎました。

そのころ、サッカーは私の人生の中で大きなウェイトを占めていました。
バイクに乗ることが少なくなった時期と重なります。
学んだことはそれこそいろいろありますが、このころのことを思い出し、ファールに対する自分の考え方を書いてみます。

試合のとき、私は信頼できるコーチをなるべく自分の横に座らせて、その人と話をしながら試合を見ていました。
これにはいくつかの理由があります。


2018年06月02日、120109_164237a


一つは、選手に対して冷静に臨むためです。
よいパフォーマンスをその場で称賛して声をかけること、これはいくらでもしてやればいいことです。
悪い点を改善するように指示を出すこと、これも効果的ならする方がいいことです。
しかしこれには落とし穴があって、失敗を指摘するだけになってしまっては全然効果がありません。
できないことを要求することもダメです。
指示は結果の評価ではなく、これからどうするかを説明するものです。

しかし試合が始まるとスポーツ独特の興奮状態があり、慣れにもよりますが、ときとして不適切な指示になってしまうことがあります。
ただ、選手への不満をぶつけているだけのようなことを口にしてしまう行為です。

試合中にずっと大きな声を出している指導者をよく見かけましたが、応援的なものであればいいですが、選手の失敗ばかり上げつらくっている人がいました。
選手の思考回路を停滞させるばかりでなく、育成段階の選手であれば余程の信頼関係がない限り、その子の成長とやる気を損います。
サッカーの指導技術が上がり、こういう指導者はだんだんと減ってきましたが、まだ今でもいます。
最近、先のある若い指導者がこんな指導をしているのを見て、「日本のサッカーは、まだ砂漠の中に草が生えた程度だ。」とガッカリしたことがありました。

厳しい言い方をすれば、この指導者は選手の能力や経験を正確に把握しておらず、それに対しての自分の指導方針も明確でない、そして効果の検証もしてこなかったということです。
指導者には、試合で選手起用するかしないかという絶対的な権限がありますから、起用した限りはその選手が何をしようが自分の管理下であり、自分の責任です。
さらに、試合中の指示はなるべく少なくするのが理想的ということを、頭を柔軟にして知らなければなりません。




あるとき選手が「コーナーキックのときに相手にパンツ(ユニホームのショーツのこと)をつかまれてジャンプできなかった。」と訴えてきました。
相手チームは都道府県代表に何度もなった全国大会常連チームでしたが、「なるほど、小学生でもそこまでやるのか。」と思いました。
多分相手チームの選手は、自分が試合でそういうことをされた経験があり、それで身に付いた必要悪だと思います。
個人的にやったことで、チームとしてやっていることではないと思います。

こういうときの指導は難しいし、指導者のモラルが問われるところです。
相手のチームの指導者と信頼関係がある場合は別として、このようなことを試合会場で問いただすともめごとになる場合があるので、普通は自分の配下選手への指導のみにとどめることが多いです。
ことの真偽は最終的にはわからないし、自分のチームの選手がオーバーに、または言い訳に言っている場合もあります。
審判にクレームを言っているともみられます。

かと言って「それはいい方法だね。君たちもやったらいい。」というわけにもいきません。
さじ加減は、ズバリその指導者のモラルにかかっていると思います。
特に子どもの場合、正当でないプレーを覚えていくことは本来的な技術の習得を妨げてしまいます。




隣に座るコーチにしてもらうことのもう一つの仕事は、レフェリーのジャッジに対する不満のはけ口になることです。
アマチュアの場合、お互いさまで相互審判をするわけですが、ときとして人間やはり腹が立つことがあります。
しかし度を越した態度はカードを受ける対象になり、レフェリーの心証は勝敗の上にも損な要素を導きます。
でも隣に座っているコーチになら、何を言ってもOKです。
どんな方法を取ってでも、私が冷静でいることが重要です。

でも、私のチームはそんなに品行方正なチームではありませんでした。
イエローをよくもらう方だったので、回りからは「ダーティなチームで、少々のことはやる。」と思われていたと感じます。
これは、指導者である私の姿勢が子どもに伝わったと思います。
相手のラフプレー、または審判技術が未熟で不満の溜まる試合で、自チームの選手がイエローをもらったときに、「あいつはオレの代わりにやってくれたんや。」と言ったこともありました。

ただし、これは隣に座っている信頼できるコーチにだけです。
それ以外の人、特に選手にはもちろん聞かせません。
そう、ここに書いてあることは、悪い例を含め、全部試合中に私が心の中で思っていることです。
こみ上げてくるいろいろな感情を、隣のコーチに受け取ってもらっていたということです。



① 相手のボールを取りに行くが、技術と判断の速さがないのでファールになる。
② 相手のボールを取りに行き、技術と判断の速さがあるのでファールなしに奪い取れる。

子どもに対しては、①を②にするために練習をするといった雰囲気の言い方をしていました。
「ファールは絶対にしてはいけないことだ。」と言ったことはありませんでした。
それなら、子どもは「ファールもできないヤツはうまくならない。」と受け取ってしまうと反論されたら、指導を離れた今は「それはあったかもしれない。」というほかありません。




サッカーの場合、W杯があり、ヨーロッパの最高水準の試合がいつでもテレビで見ることができます。
その中ではファールの笛が鳴らされることがたびたびあり、イエローやレッドのカードが適用されることもあります。
それらの中で、何が常識の範囲で、何が常識を逸脱した行為なのかという世界基準がおぼろげにわかります。
逸脱した行為とは、重傷を負わせる可能性のある相手のことをあまりにも無視したプレーや、その種目の尊厳と存続を危うくするプレーのことです。

ルールブックの字面通りでなく、それがどのようの活用され、運用されているかを知ることが大事だと思います。
「レベルの高い試合の実際の例を多く知り、その中で現実的にやっていく。」
これはあのころも、そして今もそう思うことです。


<つづく>






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Rip

Author:Rip
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年齢 戦後生まれ
住所 岸和田市
趣味 バイクほか…
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